今回は『2型糖尿病』。2型糖尿病について、事前事後学習に活かせる記事まとめました。
そのまま、活かすことが可能です!!
ではいきましょう、『2型糖尿病』!!
日本の糖尿病の割合
・1型糖尿病はおよそ5%以下
・2型糖尿病はおよそ95%以上
2型糖尿病患者の特徴
・中高年に特に多い
・体型は正常~肥満が多い
糖尿病の自覚症状
①口喝・多飲
・喉が渇き水をどんどん飲むようになる 根拠:インスリン作用が低下すると血糖値が高くなり、血液は濃くなる。すると身体は細胞の水分を血液中に移動させ、血液中のブドウ糖濃度を薄めようとするため、細胞は脱水状態になり喉が渇くため。
②多尿
・水分を多く摂取したことから、多尿となる
③体重減少
・体重減少がみられるようになる 根拠:インスリンの分泌が高度に障害されると、糖を取り込むことが出来なくなるため、全身倦怠感が生じるため
高血糖の持続を示す所見
・糖尿病の典型的症状 口喝、多飲、多尿、体重減少
・HbA1c 6.5%以上
・確実な糖尿病網膜症の存在
・糖尿病型の既往
(1)HbA1c(国試)
・成人のヘモグロビン(Hb)の約90%を占めるHbA1cという
・HbA1cの値は、全てヘモグロビン量に対するブドウ糖が結合したヘモグロビンの割合を、%で表したもの。ただし、これらはすぐに結合するのではなく、長い時間一緒にいることで、ようやく結びつく。つまり、HbAと糖は出会ってしばらくするとHbA1cというカップルになり、やがて破局を迎える。
・高血糖が持続すると、HbA1cというカップルが増加してしまう
・HbA1cの値をみれば、長期の血糖値の状態がわかる
・HbA1c値に加えて
①空腹時血糖≧126mg/dⅬ
②OGTT2時間値≧200mg/dⅬ
③随時血糖≧200mg/dⅬ
のいずれかにあてはまる場合に糖尿病と診断される
(2)OGTT2時間値とは
・75gののブドウ糖を水に溶かした水溶液を飲む検査で、75g経口ブドウ糖負荷試験という 根拠:食後の血糖値を再現する。インスリンの分泌が正常であれば、2時間後には通常の血糖値に戻るが、糖尿病の人では食後高血糖が継続する。
2型糖尿病の特徴
2型糖尿病は、2つの要素がからんでいる
・1つは「インスリンがある程度なくなる」→インスリン分泌障害
・もう1つは「インスリンが効きにくくなる」→インスリン抵抗性(インスリン感受性低下)細胞内へ糖を取り込みにくく、多くのインスリンが必要となる
・「インスリンが少ない」だけではなく、身体が「インスリンを受け付けない」状態でも血糖値は上がったままで糖尿病になる
・2型糖尿病の発症は、インスリン分泌障害とインスリン抵抗性が関与しており、そのため末梢での糖の取り込みが抑制される
2型糖尿病の発症要因
①遺伝的要因(糖尿病の家族歴あり)
②環境的要因(肥満、過食、飲酒、運動不足、ストレス、加齢) 根拠:内臓脂肪型肥満がインスリン抵抗性を増大させる
糖毒性
・高血糖であることそのものも、さらなる高血糖を助長する 根拠:ある時期、高血糖が持続すると膵臓のβ細胞のインスリンを出す能力が低下してしまい、末梢細胞でのインスリン抵抗性も増加してしまうため
糖尿病の合併症
①神経障害 ②網膜症 ③腎症 を三大合併症という
(1)神経障害
・感覚障害:手足のしびれなど
・自律神経障害:起立性低血圧など
・足病変→下肢の切断
(2)網膜症
・飛蚊症
・視力低下 など失明
(3)腎症
・重症化すると透析導入
(4)細小血管障害
・高血糖のドロドロで濃い血が流れ込むと、細小血管が酸素不足になったり、破れやすくなって障害を起こす、これを細小血管障害という 根拠:神経、網膜、腎はどれも、とても細い血管から栄養をもらっているため
(5)大血管障害
・糖尿病患者は動脈硬化が進行しやすい
2型糖尿病の治療
・食事療法と運動療法が第一
・食事療法と運動療法でコントロールが不良であれば、経口血糖降下薬や必要に応じてインスリン療法を用いる
(1)食事療法
・必要エネルギー量(kcal)=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)(国試)
・身体活動とは普段の生活で消費されるカロリーのこと
・身体活動
低い(Ⅰ)(デスクワークが主な人など)25~30kcal/kg
ふつう(Ⅱ)(立ち仕事が多い職業など)30~35kcal/kg
高い(Ⅲ)(力仕事の多い職業など)35kcal/kg以上
(2)運動療法
・主に有酸素運動を行う 根拠:心臓への負担が少ないうえに、効率よく脂肪を消費できるため
・運動交換表(代表的なもの:80kcalを消費する運動量)
●非常に軽い➡1単位(80kcalを消費する時間):30分
運動の種類:散歩、家事、買い物、草むしり、体操(ストレッチ)
●軽い➡1単位(80kcalを消費する時間):20分
運動の種類:ウオーキング(普通歩行)、入浴、階段を降りる、ラジオ体操、自転車(平地)、掃除機かけ
●中等度➡1単位(80kcalを消費する時間):10分
運動の種類:軽いジョギング、階段を上がる、自転車(坂道を上がる)、スキー(歩く)
●強い➡1単位(80kcalを消費する時間):5分
運動の種類:マラソン、縄跳び、バスケットボール、水泳(平泳ぎ)
・直接的にカロリーを消費できなくても、運動を長時間継続することによって生活習慣病の改善につながる効果がある 根拠:基礎代謝が増加することで肥満解消に効果があり、末梢のインスリン抵抗性が改善することで血糖値を下げる効果がある
・運動することで糖質や脂質を直接消費するため、血中トリグリセリドが減少し、HDLコレステロールが増加する
・運動の頻度は、1日30分以上、週3回で以上で、できれば毎日、週180分以上が推奨
・運動のタイミングは食後30分~1時間に運動を始めるのが良い 根拠:食後に最も血糖値が上昇するため、運動をすることで血糖値上昇をゆるやかにすることが出来る
経口血糖降下薬
・副作用は、基本的に低血糖と体重増加が代表的であるが、インクレチン関連薬と呼ばれる、DPP-4阻害薬と注射薬のGLP-1受容体作動薬は、この副作用が少ない 根拠:インクレチンは消化菅ホルモンで膵臓からのインスリン分泌を促進するものの総称だが、血中のグルコース濃度が高い時にだけ効果を発揮するので、食後高血糖によく効き、空腹時低血糖を起こしにくいため
糖尿病神経障害
(1)多発神経障害
①感覚・運動神経障害:手足のしびれや痛み、感覚鈍麻
②自律神経障害:発汗異常、起立性低血圧、排尿障害(尿失禁、残尿)、排便障害(便秘、下痢)、勃起障害
(2)単神経障害(まれ)
・顔面神経麻痺
・外眼筋麻痺
(3)フットケアが重要性
・糖尿病による神経障害・血管障害によって引き起こされた下肢の感染症や潰瘍・壊疽のことを糖尿病足病変という
・糖尿病患者は潰瘍が出来やすく、感染しやすい状態になっているため、傷が出来ると悪化しやすいうえ、治りにくい
・末梢血管障害や閉鎖性動脈硬化症が起こると血流が悪くなる
・傷ができても患者は気づかないまま悪化してしまう 根拠:神経障害によって触覚や温痛覚が障害されるため
・フットケアの指導項目
①足病変の見つけ方(定期的な観察)
②予防と簡単な処置の仕方(足を清潔に保つなど)
③靴の選び方・履き方(靴ずれをおこさないため)
④爪切り指導(深爪をしない) 根拠:神経障害により傷に気付かないため
⑤暖房器具の選び方・使い方(ヒーターに足を近づけない) 根拠:神経障害によって触覚や温痛覚が障害されるため
今回は2型糖尿病についてでした。
では、また!!
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