今回のテーマは『周手術期 術前の看護 手術当日Ver.』です。
『術前の看護』は、看護実習で学ぶ事間違いなし!!なので、事前学習で間違いなく書いて、仕上げて、提出することが必要になります。
事前学習・事後学習でも活用できるようにまとめました。
この記事をそのまま活用して、忙しい実習中の睡眠時間を少しでも確保してください。
では、いきましょう!!『周手術期 術前の看護 手術当日Ver.』
※周手術期 術前の看護 手術前日Ver.は下の画像をクリック👇
手術当日の患者への関わり方
・手術の準備を進めながらも、患者の表情・口数・言動をよく観察し、声をかける、肩や腕をさするなど、不安や緊張を軽減するケアを実施する。 根拠:術当日の患者は、不安と緊張がピークに達しているため。
・患者に手術中や手術後にどのようなことが起こるのか説明するケアが必要。 根拠:緊張や不安は「これから手術では自分にはどんなことが起こるのか?」という情報不足に起因するものが多いため。
・手術室に入る直前まで、患者と家族が一緒にいることのできる時間をつくる。 根拠:家族も緊張しているため。
・夜間眠れず休息がとれていなければ患者は、交感神経が優位の状態にある。 根拠:緊張と不安に加え緩下剤を内服しているため。
手術当日の観察項目
安全確保の看護
●観察ポイント
・眼鏡、コンタクトレンズ、つけまつげ、アクセサリー、ヘアピン、マニキュア、ペディキュア、化粧、総入れ歯、部分入れ歯、かつらを除去しているか。
・ひげを剃っているか。 根拠:気管内挿管の操作の妨げとなるため。感染予防のため。
・ネームバンドを装着しているか。 根拠:患者取り違え防止のため
●ケアのポイント
・安全の確保のために必要なことを説明し、理解してもらう。
・除去するものは患者自身に外してもらうようにし、看護師は確認を行う。
●経過観察のポイント
・金属類は術前から外しておく。 根拠:電気メスによる通電や熱傷を予防するために。
・総入れ歯や部分入れ歯、ひげは気管内挿管の操作の妨げとなるため、術前から外したり剃ったりしておく。
術後感染を防ぐための看護
●観察ポイント
・口腔ケア、歯磨きをしたか。 根拠:細菌感染の防止のため。
・排便状況。 根拠:手術中に麻酔の筋弛緩作用により肛門が緩み、便が排出され手術環境が汚染されるのを防ぐため。
●ケアのポイント
・歯磨きをしたか確認し、出来ていないよおうであれば促す。
・浣腸の指示があれば促す。
●経過観察のポイント
・前日に緩下剤をないしていることも考慮し排便を確認する。
・術後感染の予防のため、排便がない場合は医師へ報告する。
深部静脈血栓症予防の看護
●観察ポイント
・歩行状態。
●ケアのポイント
・前日に準備した弾性ストッキングを着用する。
・弾性ストッキングが正しく着用できているか確認する。 根拠:血行障害や皮膚トラブルのリスクがあるため。
●経過観察ポイント
・弾性ストッキングは術後の深部静脈血栓症の予防となる。(国試)
・手術室に向かう時には弾性ストッキングを着用する。
術後出血予防の看護
●観察ポイント
・術前に中止となっている抗凝固薬や抗血小板を内服していないか。 根拠:抗凝固薬や抗血小板は血液が固まるのを抑える作用があるため。
●ケアのポイント
・抗凝固薬が術前に中止されているかを確認する。
●経過観察ポイント
・抗凝固薬を内服していた場合は術後出血のリスクが高い。術後は特に、術後出血の早期発見に努める。
精神状態(不安)に対する看護
●観察ポイント
・前日の入眠状況、疲れや緊張の有無。
・不安の徴候や普段とは違う言動に注意。
●ケアのポイント
・患者が不安を表出しやすい環境を整え、話を指示的態度で傾聴する。
●経過観察ポイント
・不安は不眠の原因となるだけでなく、周手術期のバイタルサインに影響が出る。 根拠:交感神経を優位にするため。
術中および術後に影響する薬剤について
●観察ポイント
・降圧薬などの内服薬に関する医師の指示の有無。
●ケアのポイント
・中止の薬剤を内服していないか、指示された薬剤を確実に内服しているかを確認する。
●経過観察ポイント
・内服薬の変化による身体症状の有無を確認する。
術中および術後に影響する飲食について
●観察ポイント
・飲食の制限に関する医師の指示の有無
●ケアのポイント
・指示の通りに飲食の制限を理解し、確実に指示が守られているかを確認する。
●経過観察ポイント
・飲食の制限による空腹感、口喝などの身体症状の有無を確認する。
手術当日の確認事項
・手術前日の患者は不安と緊張が強く、術前の準備を忘れてしまうことがある。
・準備物の確認や内服の有無、絶飲食が守られていつかなど、必要な準備が整っているか確認する。
手術当日の基本的な確認事項
・睡眠状況
・排尿の有無、排便の有無
・歯磨き・洗面は出来ているか
・髭剃りは出来ているか
・必要な薬剤の内服(再確認)は済んでいるか
・絶飲食は守ることは出来ているか
・購入が必要なものは揃っているか 腹帯・T字帯・吸い飲み・ティッシュペーパー
浣腸の実施
・浣腸を実施し腸内容物を排出する。排便の量、残便感のないことを確認する。 根拠:術中に便による創部汚染を予防するため。特に、腸管の手術では、排便が十分でないと便が腹腔内に流出し感染を引き起こす危険があるため。
ただし、腹部の急性炎症、消化管穿孔の手術の浣腸は禁忌。
グリセリン浣腸の手順
①包装袋に入ったままの浣腸液をお湯に入れ、浣腸液を40~41℃に温める。 根拠:直腸温よりやや高めにして直腸壁を適度に刺激し、蠕動運動を促すため。
②カーテンを閉めるなどの羞恥心への配慮を行い、患者の臀部を露出する。
③患者に左側臥位になってもらい、膝を軽く曲げる。 根拠:S状結腸から直腸は、体の左側を通って肛門へとつながっており患者を左側臥位にすると、注入したグリセリンがS字結腸へと流入しやすいため。
④浣腸のチューブ先端に潤滑剤を塗布する。
⑤肛門にチューブをゆっくりと約5㎝挿入する。 根拠:5㎝以上の挿入では、肛門縁から約6㎝のところにあるコールラウシュヒダを含め直腸壁を損傷させる可能性があるため。
⑥患者に口呼吸を促し、ゆっくりと浣腸液を注入する。
⑦注入後チューブを静かに抜き取り、肛門をトイレットペーパーなどで押さえる。
⑧少し我慢してもらい便意が強くなったら排便を促す。 根拠:すぐに排便すると、浣腸液が吸収しきらずに排泄してしまうため。
患者の身じたくについて:外すもの
●髭を剃る。 根拠:全身麻酔による手術で人工呼吸器による呼吸管理を行う際、患者の口や鼻から挿入・留置する気管チューブを固定するテープが剝がれやすくなり、事故抜去のリスクが高くなるため。さらに緊急時にバッグバルブマスクが皮膚に密着しにくくなるため。
●金属類を外す。 根拠:手術で電気メスを使用する際に患者が金属を身に付けていると、その金属に通電することで熱傷を生じることがあるため。
●化粧をのける。 根拠:顔色の観察を妨げ、テープ類が剥がれやすくなり、含有物に金属があると熱傷の原因になるため。
●入れ歯を外す。 根拠:入れ歯があると気管内挿管の操作の妨げとなり、入れ歯を破損したり、気管内に落ちるなどのリスクがあるため。
●マニキュアをのける。 根拠:マニキュアはパルスオキシメーターの値に影響するため。
患者の身じたくについて:身につけるもの
●リストバンドを装着する。 根拠:麻酔が効いている間、患者が本人であるかどうか確認するため。
●手術に適した衣服を着用する。 根拠:手術室に行くまでの動きを妨げない、点滴や麻痺があっても着脱しやすい衣服であるため。
●T字帯やおむつを準備する。 根拠:術後に膀胱留置カテーテルを留置して帰室することがあるため。
●弾性ストッキングの着用。(国試) 根拠:下肢の静脈をしめつけ血液のうっ滞を予防し、深部静脈血栓症を防ぐため。
弾性ストッキングの装着の看護
・手術中や術直後は安静を保たなければならないため、歩行ができない。歩行ができないと、下肢のヒラメ筋や腓腹筋が収縮と弛緩を繰り返すことが出来ず、筋肉の間を通る静脈も幅が広くなったり狭くなったりを繰り返せずに、下肢から心臓に戻ってくる血流に勢いが付かず、血液のうっ滞を起こしてしまう。
・血液がうっ滞すると、血管の中で血液が固まり血栓が生じる。
・この血栓が静脈の血流に乗って心臓に運ばれ、さらに心臓から肺に届くと肺の動脈に詰まり、肺血栓塞栓症の原因となる。
弾性ストッキングの履かせ方
①ストッキングに手を入れ、内側から踵部をつかむ。
②踵部をつかんだままストッキングを裏返す。
③患者と同じ方向を向いて履かせる足と同じ側(右足であれば右足側)に立ち、つかんだストッキングの踵部分が下にくるようにし、つま先から踵部分まで履かせる。
④裏返したストッキングの上端を持ち、足首部分まで引き上げる。
⑤裏返したストッキングの残りの部分をたくし上げ、円を描くようにゆっくりと引き上げる。この際、ストッキングの踵部分と、患者の踵の位置が合っていることを確かめる。つま先部分は余っていても問題はない。
⑥ストッキングの薄手の部分と厚手の部分の境目が、膝下2.5㎝から5㎝の間にくるように履かせる。
⑦ ⑥の時強く引っ張り上げないようにする。
⑧ストッキング上端部の滑り止め防止バンド部分は足の付け根にくるようにする。バンドによって皮膚が引っ張られることがないようにフィットさせる。また、無圧部分は大腿部の内側前面にくるよにフィットさせる。最後にストッキングにしわがないようにする。しわがある場合は手の平でしわの周囲のストッキングをなで広げるようにしてしわをとる。
注意:適切な履かせ方でないと、強い圧によって血行障害を起こす怖れがある。
●観察ポイント
・ストッキングによる圧迫によって下肢表面に皮膚トラブルが生じやすいため、1日1回は必ず弾性ストッキングを脱いだ状態で観察する。
・上端部が折り返されていたり丸まったりしていないか
・しわやねじれがないか
・インスペクションホールから足先が出ていないか
・引っ張り上げて装着していないか
・発赤や掻痒感、潰瘍などの皮膚トラブルの有無
・痛み、しびれの有無
弾性ストッキングの脱がせ方
①ストッキングの上端をつかんで裏返すように足首側に引っ張る。
②足首から踵部分は、ストッキングの内側に看護師の指を入れて脱がせるとスムーズに脱がすことができる。
今回は手術当日の看護でした。
是非、事前学習に活用してください。
では、また!!
コメント