こんにちは。無理やあブログ管理者の無理やあです。
今回も、記事をそのまま書いてもらえば看護実習の事前学習ノートが仕上がります!!
今回のテーマはアルコール依存症。どんな疾患か、特徴的な症状や看護のポイントなど、事前学習にそのまま使えるようにまとめました。是非活かして下さい!それでは、いきましょう!今回のテーマは『アルコール依存症』。
アルコール依存症とは
・アルコール依存は精神依存、身体依存、耐性から成り立つ。
アルコール依存症の精神依存
①渇望 飲酒への強い欲求
②飲酒行動の統制不能 泥酔に至るまで多量の飲酒を繰り返す
③飲酒中心性 すべての関心が飲酒に集中する
④有害な飲酒に対する抑制の喪失 飲酒によって身体疾患や、家族・社会問題が生じているのに飲酒をやめられない
アルコール依存症の身体依存
飲酒の中止によって、離脱症状の出現
①手指の振戦
②けいれん
③意識の消失
④幻視
⑤せん妄(日頃やりなれた動作:運転手なら運転、主婦なら家事動作)
耐性とは
・同じ量のアルコールを続けて摂取しているうちに、次第にアルコールに強くなること。よって、これまでと同じ満足感を得るには、より多くのアルコールを摂る必要が生じる。
アルコール依存症の身体症状
①肝障害(脂肪肝、肝炎、肝硬変)
②慢性膵炎 長期間にわり膵臓の炎症が持続すること。膵液(消化酵素)は本来食べ物を消化するが、膵臓自身を溶かしてしまい、繰り返し炎症を引き起こすことで膵臓の正常な細胞(腺房細胞、ランゲンハンス島)が徐々に破壊され、膵臓が硬くなり(線維化)、膵臓の中に石(膵石)ができる。原因として最も多いのは長期間にわたる大量の飲酒。
③肝炎 肝臓は、消化管から取り込んだ栄養を利用しやすい形に変えたり、毒物を分解したり、体内の物質のバランスを維持したりなど、生命を支えるために重要な多くのはたらきを担っているが、この肝臓の細胞が壊れてしまった状態のこと。
④多発性神経炎 左右対称的に下肢の遠位部から始まり、筋力低下、感覚障害が上行すること。
⑤脂質異常 血液中にふくまれるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などの脂質が、一定の基準よりも多い状態のことをいう。動脈硬化、心筋梗塞・脳卒中などのリスクが高くなる。血管に強い圧力がかかっている高血圧の人が脂質異常症をともなうと、血管壁が傷つきやすいため動脈硬化がさらに進行するリスクがありる。また、インスリンが不足すると中性脂肪が体内で利用されにくくなり、血中に中性脂肪が増え、そのため糖尿病の人は脂質異常症を伴いやすく、動脈硬化を進行させるリスクが高まりる。
⑥アルコール精神病(アルコール性認知症、幻覚症、嫉妬妄想)
不適切、逸脱した飲酒は、本人の健康だけでなく、家族への暴力や虐待、自殺といった問題に密接に関連している。
アルコール依存症患者の特徴
①病識があまりない 自身の飲酒歴や生活状況などを否認する言動が目立つ。
②精神科への入院に抵抗を感じていることがある 医療者に対する暴言や、入院加療が必要な場合でも、強い抵抗を示す患者もいる
入院時の観察ポイント
①意識レベル
②精神症状
③身体症状
④飲酒量(確認の際は、付き添いの家族に確認する) 根拠:患者は病識がなく、医療者に対し入院時、実際の飲酒量よりも少なく訴えることが多いため
⑤最終の飲酒の時期、飲酒量(確認の際は、付き添いの家族に確認する)
点滴の実施
・患者は低栄養状態が目立つ 根拠:飲酒がメインとなり、食事を摂らないことが多く、アルコールの利尿作用によって脱水状態だったり、アルコールの分解にビタミン(特にビタミンB₁)や他の栄養素が使われてしまうため
ウェルニッケ脳症➡コルサコフ症候群
・アルコール分解に必要なビタミンB₁が大量に消費され、体内のビタミンB₁が欠乏すると、ウェルニッケ脳症となり、それがさらに進行するとコルサコフ症候群を引き起こす。
①ウェルニッケ脳症 突然の意識障害、眼球の運動障害、失調性歩行を起こす。治療法として、チアミン(ビタミンB₁)の補充がある。
②コルサコフ症候群 ウェルニッケ脳症の治療効果が現れず、健忘、見当識障害、作話、自己の病態への洞察欠如が著明となるのが、コルサコフ症候群。
アルコール離脱症状
飲酒の中断または減量によって、数時間後に手指の振戦や自律神経症状(倦怠感、不眠、頭痛、動悸・息切れ、イライラ、不安感、情緒不安定、耳鳴り、過敏性腸症候群など)、2日以内にてんかんの大発作のようなけいれんと、意識消失を起こすことがある。さらに、振戦せん妄が起こると、幻視がみられることもある。日頃やりなれた動作(運転手なら運転動作)を繰り返すこともある。
アルコール離脱期の看護
・離脱期でせん妄が出現している時期でも、現実をまったく理解できない状態ではない。そのためケアは必ず声をかけながら実施する。また、せん妄は夜間に起こりやすいため、一般的には多めの抗不安薬・睡眠導入薬を一時的に投与して予防する。(各主治医の判断による)
・幻視に対しては、患者の訴えを傾聴し、幻覚によって不安を感じている患者の気持ちを理解する態度で看護をすることが重要である。
アルコール依存症の治療
①治療は断酒が原則
②何十年断酒しても、たった一口飲酒するだけで、アルコール依存にもどってしまうため 根拠:身体的にも精神的にもアルコール依存してしまっている状態のため
③抗酒薬の服用。 服用すると、少量の飲酒で悪酔い(悪心・嘔吐、頭痛、頻脈)するため、飲酒をあきらめるという効果がある
集団精神療法
個人療法に対して集団場面で行う精神療法のことをいい、統合失調症、摂食障害、アルコール依存や薬物依存などに特に効果があるとされている。集団内のメンバー同士の相互の交流を通じて、グループダイナミクス(集団力動)を利用し、自分の行動や感情をみつめることから治療的な変化がうまれる。
患者同士が自分の体験(酒害体験)や思っていることを発表する。重要なことは、集団療法では、患者が主体となってそれぞれの経験を発表したり、その発表された内容を聞いて、自分の行動や考えを振り返る機会とする。発表に関しても、参加者全員に発言してもらう必要はない。看護師は、参加者の発表内容だけではなく、参加者全員の表情やしぐさなど、非言語的サインを観察することが重要。
AA(Alcoholics Anonymous:匿名のアルコール依存症患者の会)や断酒会、という自助グループがある。
AAは、1935年にアメリカで始まったアルコール依存者の回復に向けて活動しているグループで、日本全国にも、多数のグループが存在している。内容はミーティングが中心で匿名性を重視している。
断酒会は、組織化、非匿名、会費制が導入されており、AAとは異なっている。地方会やサブグループが結成されるなど、断酒会はまだまだ発展している。
最後に
今回は、アルコール依存症についてまとめました。
アルコール依存症は、患者さんの意思の強さに関係なく発症します。正しい疾患の理解をすれば、支持的な態度で関わることが出来ると思います。
実習先の病院が依存症の専門機関であれば、受け持ち患者として、関わることもあると思います。今回の記事を活かしてください。
次回も役に立てる記事をあげていきます。では、また!!
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