こんにちは。現役看護師の無理やあブログ管理者の無理やあです。
この無理やあブログは、記事をそのまま書けば看護実習の事前学習ノートが仕上がるブログです。
ただでさえ忙しい看護学生さん。校内実習では実習の事前学習・・臨地実習では実習の事前学習・・事前学習ばっかり!!(体験談)量が多すぎて、書くばっかりで、全然頭に入りませんでした。
なので事前学習くらいは、この無理やあブログを使って仕上げて下さい。
今回は『脳卒中(脳血管障害)』です。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血は看護実習で関わることの多い疾患です。患者さんを受け持つこともあると思います。
それぞれの病態や機序、看護のポイントを、基本的なところでまとめました。是非、事前学習や急な確認が必要な時に活かして下さい。
では、行きましょう『脳卒中(脳血管障害)』!!
※おすすめ記事 合わせて読んで👇
脳梗塞
・脳梗塞は、脳動脈の閉塞によって、脳に血液が行きわたらなくなり、脳機能障害が起こる疾患
アテローム(粥腫)血栓性脳梗塞
・機序:主幹動脈(太い血管)が閉塞
・症状:太い動脈が閉塞するため段階的に症状が進行し、重症化するケースが多い。言語障害や同名半盲などの広範囲に及ぶ症状が起こる。
・治療:①超急性期の脳血流の改善、②脳神経細胞の保護、③脳浮腫対策を基本とし、脳血栓症に対しては抗血症板療法、脳塞栓症に対しては抗凝固療法を行う
ラクナ梗塞
・機序:穿通枝動脈(細い血管)が閉塞
・症状:片麻痺や感覚の低下、脱力感など感覚障害が起こる。他の脳梗塞に比べて症状が軽く、自覚症状がないことも多い。
・治療:①超急性期の脳血流の改善、②脳神経細胞の保護、③脳浮腫対策を基本とし、脳血栓症に対しては抗血症板療法、脳塞栓症に対しては抗凝固療法を行う
脳塞栓症
・機序:脳以外の血管で発生した血栓が脳に流れ、脳動脈が閉塞
・症状:血管が詰まる以前は血流が保たれているため、前駆症状はほぼない。比較的広範囲な梗塞巣を呈する。
・治療:①超急性期の脳血流の改善、②脳神経細胞の保護、③脳浮腫対策を基本とし、脳血栓症に対しては抗血症板療法、脳塞栓症に対しては抗凝固療法を行う
脳梗塞の血圧コントロール
・脳梗塞の急性期には基本的には血圧は下げない 根拠:脳梗塞急性期は血圧の自動調整機能が破綻しており、血圧の上下により脳血流も変化してしまうため
・症状が安定したら血圧は下げる
ブローカ失語とウェルニッケ脳症
・ブローカの運動性言語野(前頭葉)は言葉を話す機能
・ウェルニッケの感覚性言語野(側頭葉)は言葉を理解する機能
ブローカ失語
・言葉の理解は可能だが、言葉を話すのが困難
ウェルニッケ失語
・言葉をペラペラ話すことができるが、錯語が多くなり会話が成立しなくなり、人や自分が話していることを理解が困難
失語のある患者の看護
・ブローカ失語のある患者へは、何度も聞き直す質問や説明は禁! 根拠:言葉が出てこない人に対して言葉で言葉で答えさせようとしても、ストレスをためさせるため
・「〇〇ですか?」というように、closed ended question(閉じられた質問:選択型質問)「はい」「いいえ」で答えることの出来る質問をする(国試)
・絵や筆談、ジャスチャーを交えて根気よくコミュニケーションを行うことが重要
脳出血
・脳出血は、脳実質内に出血が生じたもので、高血圧のコントロールが不十分な場合によくみられる。高血圧性脳出血の場合、被殻出血(国試)が最も多くみられる。共同偏視は小脳や被殻で出血量が多い場合にみられる。
脳出血の症状
・脳出血では、障害部位により特徴的な眼症状がみられる
・被殻出血 病巣側への共同偏視(眼が右に寄る)
・小脳出血 病巣と反対側への共同偏視、縮瞳(眼が左に寄る)
・視床出血 内下方共同偏視、縮瞳、対光反射(±)、瞳孔不同
・橋出血 正中位、著しい縮瞳
脳出血の看護
・脳出血の急性期では血圧の管理が重要 根拠:血圧が上がると脳出血が広がり、また脳出血では頭蓋内圧が亢進するため、血圧が上昇する
・血圧を下げすぎると、脳に必要な血液が届かないため、やはり血圧を上げるようなことを避けてもらう
・ベッド上安静が基本
・イライラすると血圧が上昇するため、ストレスがかからない様に配慮が必要
・頭蓋内圧亢進症状に注意する
脳出血の外科治療
・開頭血腫除去術 顕微鏡下で脳を切開し、血種を吸引する。出血部の止血も可能。主に皮質下出血、被殻出血などの脳の表面に近い出血が適応となる
・穿頭血腫除去術 頭蓋骨に小さな穴を開けて管を通し、血腫を取り除く。内視鏡下で行うこともあり、この場合には止血も可能
くも膜下出血
・脳は直接頭蓋骨に接しているのではなく、その間には髄膜がある。髄膜は外側(頭蓋骨側)から、硬膜、くも膜、軟膜と3重の膜により形成されており、一番内側の軟膜が脳表面に接している。
・くも膜と軟膜の間にはくも膜下腔という空間があり、そこは脳脊髄液で満たされており、衝撃が脳に直接伝わらないようになっている
・脳脊髄液は、側脳室や第三脳室にある脈絡叢というとこから分泌され、上矢状静脈洞に突出するくも膜顆粒から吸収される
・くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂(80%以上)などにより、くも膜下腔へ急激に血液に流入することにより生じる病態である。
・短時間で頭蓋内圧が亢進するため、突然の激しい頭痛を伴い、悪心、嘔吐、意識障害、けいれんなどが起こり、髄膜刺激症状がみられる
・頭部CTにて診断が確定したら、再出血や脳ヘルニアを防ぐため、外科手術や血管内治療を行う。血圧管理や鎮痛・鎮静などの術前管理が重要になる
項部硬直
・首を前方に曲げようとすると抵抗感があり、痛みを感じる 根拠:髄膜に炎症がおき、髄膜炎になったり、くも膜下出血などで出血があったりすると、首や足の筋肉が緊張し、動かすと抵抗感や痛みを感じるため。これを髄膜刺激症状という
※ただし、髄膜刺激症状は、くも膜下出血発症直後には認められないこともある
ケルニッヒ徴候
・仰臥位で片足を持ち上げると膝関節が伸展できない
くも膜下出血の術前の看護
・くも膜下出血の再発を防ぐため、血圧の上昇を避ける必要があるため、光刺激や音刺激を避けるようにする。さらには氷枕、浣腸、なども禁!
・排痰法の練習は頭蓋内圧亢進の原因になるため禁!
・くも膜下出血の急性期には、血圧上昇や肺水腫が出現しやすいため、不整脈や心筋梗塞に似た心電図の変化に注意が必要。肺水腫が出現する 根拠:頭蓋内圧上昇に伴う交感神経の過剰緊張による急激な血圧上昇によって、肺への体液の移動と肺血管透過性の亢進が起こるため
くも膜下出血の術後の看護
・脳室ドレーンの挿入。根拠:血液が混ざった髄液を排出するため。
・脳室ドレーン挿入時は臥床保持。 根拠:脳室ドレーンの設定圧は、外耳孔の高さを基準点として決めているため、起き上がるとドレナージ圧が低くなり、髄液が過剰に排出されてしまうため。オーバードレナージという。
・オーバードレナージになると、頭蓋内圧亢進の反対で低下を起こし、頭痛の原因やあまりに低下すると硬膜下血腫などを原因とした意識障害がおこる
高次脳機能障害
・高次脳機能障害とは、失認や失行、注意障害、記憶障害、情動障害、失語症などがある
・失認は、視野や聴覚によって情報を得ることができても、それを正しく認識できない状態のこと。例では、左右が認識できなくなる左右失認がある
・失行とは、運動障害がないのに、行動が正しくできない状態のこと。例では、衣服を着ようとすると、着方が分からなく正しく着ることが出来なくなる、着衣失行がある
半側空間無視
・頭頂葉や基底核といった部位の障害により生じ、見えないわけではなく、片側だけ認識ができなくなってしまう。例では、食事の際、片側だけそのまま残してしまう
・看護のポイントとして、認識できていない側から話かけるなどして、注意を促す
脳卒中の患者への看護
衣服交換の援助
・衣服の交換では、動ける側から脱ぎ、患側から着る。これを、脱健着患という。 根拠:動かせる方から脱げば、あとは引っ張る、傾けるなどで脱ぐことができ、着る時は、患側から着れば動く方の上肢で支えたりすることが出来るため
・側臥位にする際は、健側が下になるようにする。 根拠:患側は動かせないため、血行が悪くなりやすく、痛みを感じなければ循環不良が起こっていてもわからないため
・体位変換では、ポジショニングは麻痺の程度や関節の状態を考慮し行う
・上記のような根拠に基づき、点滴も原則は健側で行う
食事の援助
・嚥下機能の障害があると、液体ではむせ込みを起こすことが多く、誤嚥性肺炎のリスクがある
・食事開始の際は、障害の程度を確認してから、半固形のもの(プリン・ゼリー)や、液体にはとろみを付ける 根拠:誤嚥性肺炎のリスクがあるため
・誤嚥を起こしにくい体位は、頸部前屈位で、枕などを活用し、顎を引いた状態とする。また、若干の前傾姿勢を取り、膝を曲げて座位とする
・片麻痺がある場合は、食事介助は健側から実施する 根拠:麻痺側では指示が伝わりにくかったり、食物が麻痺側の口腔内に残るため
・また、麻痺の程度やその時のADLに合わせ、食器の握り部分が太いものに変更するなど、工夫する 根拠:障害の程度やADLをきちんと評価し、介入の程度を判断することが重要。必要以上の介助は患者の自尊心を傷つけてしまうため
歩行時の援助
・歩行時は看護師は常に患側に立つ。また患者が健側で手すりを握れるように歩く場所も考慮する
・歩き出す前に患者が靴がきちんとはけているか、ズボンの裾が長すぎないか確認する 根拠:転倒防止のため
・患者のペースに看護師は合わせる
最後に
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血は看護実習で関わることの多い疾患です。受け持ち患者さんが脳血管障害の際は、この記事を活用してください。
歩行の援助や食事介助、時間がかかっても自分で衣類の脱着ができるなどが看護計画になると思います。
それぞれの疾患で、患者さんのADLを把握し、必要な援助を行うことがとても重要です。
※おすすめ記事 あわせて読んで👇
コメント