今回のテーマは『放射線療法』です。看護実習の事前・事後学習にそのまま活かせるように今回も簡単にまとめました。
では、いきましょう、『放射線療法』!!
放射線療法
・主な抗がん作用は「細胞の分裂を抑える」こと
・がん細胞に放射線を照射するとDNAが障害され、がん細胞は分裂できなくなり、やがて死滅する
・特に細胞が分裂している最中(分裂期)に照射すると、効果を上げやすい 根拠:がん細胞は、正常な細胞に比べて分裂が盛んで、分裂から次の分裂までの間隔が短く、その分だけ分裂期にある細胞が多いため、放射線によって死滅しやすい
・放射線療法は「根治を目指す」だけではなく、予防的に用いられたり、緩和的に用いられたりする
・放射線は、がん細胞だけでなく正常な細胞の分裂も抑えてしまう
(1)放射線療法の目的
●根治的放射線療法:根治を目指す局所治療としての放射線療法 例)頭頚部がん、食道がん、子宮頸がん、小細胞がん、悪性リンパ腫など
●予防的放射線療法:根治を目指す(再発リスクを減らす)補助療法としての放射線療法 例)乳がんの乳房温存術後の残存乳腺への照射
●緩和的放射線療法:緩和的(姑息的)放射線療法:根治を望めない場合の腫瘍縮小による延命もしくは症状緩和によるOQL向上を目的とした放射線療法
例)転移性骨腫瘍による疼痛緩和や病的骨折、神経圧迫が差し迫っている場合、脳転移へのガンマナイフ治療、狭窄や閉塞、出血、神経症状など
●緊急照射:例)脊髄圧迫、上大静脈症候群、気道閉塞(狭窄)など
放射線療法中の看護のポイント
・放射線療法は局所治療であり、放射線を受けた範囲にのみ作用する
(1)放射線療法による急性期有害事象と晩期有害事象
●急性期有害事象
・治療開始から90日以内に起こる
・照射された臓器・組織に由来する局所性有害事象(皮膚・粘膜・造血器・生殖器等の機能障害)と、原因不明の全身性有害事象(倦怠感、放射線宿酔等)がある。
・放射線宿酔とは、放射線照射の数時間後から現れる全身倦怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢などの症状
・治療の休止により改善する 根拠:治療を休止すると、正常細胞のDNAが修復されて、急性期有害事象は改善する
●晩期(遅発性)有害事象
・治療開始から90日以降に起き、数か月もしくは年単位の時間を経過して出現する
・照射された臓器の機能障害、二次がんなどがみられる
・不可逆性で難治性であることが多い
・原因不明の組織の繊維化・血行障害が起こる(リンパ浮腫、腸管からの出血、皮膚の色素沈着や萎縮)
(2)看護のポイント
・放射線療法の看護の目的は、予定された治療が最後まで完遂できるように、患者の心身のサポートを行う
①放射線療法中の皮膚のケア
・放射線は直接皮膚の上から照射することが多いため、皮膚障害(発赤や乾燥、難治性の潰瘍など)が起こりやすい
・基本は清潔と保護、刺激をなるべく与えないようにする
・掻痒感が強い場合は、ぬるま湯で優しく洗い流す程度にする
・直射日光、衣服との摩擦、虫刺され、切り傷などの機械的刺激を避けるため保護の必要性を説明する
・湿布や塗布薬を照射野に用いないようにする
次回は、薬物療法です。
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